
不動産ルームツアー動画のYouTubeアナリティクス、何を見ればいいのか——自社データで読み解く3つの指標
「再生回数だけ見ていても、何も改善できない」
YouTubeアナリティクスを開くと、数字がたくさん並んでいます。再生回数、インプレッション数、視聴者維持率、クリック率——どれを見ればいいのか、最初はわかりません。
再生回数は伸びているのか伸びていないのか。伸びていないとしたら、何が原因なのか。
この記事では、実際に制作・公開したルームツアー動画7本のアナリティクスデータをもとに、「何を見るべきか」「何がわかるか」を解説します。特別なツールは不要です。YouTubeアナリティクスに標準で表示される3つの指標を読めるようになれば、動画改善の方向性が見えてきます。
見るべき指標①:流入元(視聴者がどこから来ているか)

YouTubeアナリティクスの「リーチ」タブを開くと、「視聴者がこの動画を見つけた方法」が表示されます。
主な流入元は以下の4つです。
YouTube検索
視聴者がYouTubeの検索窓にキーワードを入力して動画を見つけたケース。「平屋 ルームツアー」「30坪 二階建て 間取り」などのキーワードで流入しています。
ブラウジング機能
YouTubeのトップページや「次の動画」欄に表示されて再生されたケース。アルゴリズムが関連性の高いユーザーに動画を届けている状態です。
関連動画
他の動画を見ている最中に「おすすめ」として表示されて再生されたケース。
外部
Google検索、他のウェブサイト、SNSなどYouTube外から流入したケース。
自社データで見えたこと
7本の動画の流入元を比較すると、動画によってパターンが大きく異なることがわかりました。
| 動画 | 主な流入元 |
|---|---|
| 平屋(2:11) | YouTube検索 43.8% |
| 2LDK(2:00) | YouTube検索 54.4% |
| 二階建て(6:27) | 関連動画 25.7% / ブラウジング 23.1% / YouTube検索 22.0% |
| 1.5階建て(10:19) | ブラウジング 50.2% / 関連動画 31.9% |
| 平屋(2:14) | 外部 33.7% / ブラウジング 31.1% |
| 4LDK(2:40) | 外部 68.2% |
| エコハウス(2:36) | 直接入力 30.2% / YouTube検索 25.9% |
特に注目したいのは流入元がYouTube検索中心の動画と、ブラウジング・関連動画中心の動画の違いです。
YouTube検索が強い動画は、タイトルに「平屋」「2LDK」「30坪」などの検索キーワードが入っています。視聴者が「今この瞬間に能動的に探している」状態なので、問い合わせや来場につながりやすい層に届いています。
ブラウジング・関連動画が強い動画は、アルゴリズムによって届けられています。YouTubeのアルゴリズムはユーザーの視聴履歴をもとにおすすめを出すため、「ルームツアー動画をよく見る人」「住宅に興味がある人」に表示される仕組みです。今まさに家を探している人もいれば、漠然と関心を持って見ている人もいる——視聴者の温度感はさまざまですが、少なくとも住宅に関心のある層に届いているという点では共通しています。また再生回数のボリュームを作ってくれる存在でもあり、アルゴリズムがさらに広げてくれる好循環につながります。
つまり、YouTube検索は「能動的に探している層」に届きやすく、ブラウジング・関連動画は「住宅に関心のある幅広い層」に届きやすいという傾向の違いと捉えるのが適切です。どちらが優れているということではなく、両方が機能することで動画の効果が最大化されます。
流入元から何をすべきか
YouTube検索を増やすには、タイトルにキーワードを入れることが有効です。「平屋」「何LDK」「何坪」「間取り」「ルームツアー」など、視聴者が実際に検索しそうな言葉をタイトルに含めることで、検索での発見率が上がります。今回のデータでも、「平屋ルームツアー」というキーワードで43.8%の流入があった動画は、タイトルに「平屋」「ルームツアー」の両方が入っていました。
ブラウジング・関連動画を増やすには、視聴維持率と再生回数を高めることが基本です。アルゴリズムは「視聴者が最後まで見た動画」「多くの人が見た動画」を評価して広げていきます。こちらはタイトルよりも動画の中身の質が問われる部分です。
まず検索で見つけてもらいやすいタイトル設計をしながら、内容の質を上げてアルゴリズムにも評価される動画を作る——この両輪が、流入元を安定させる基本的な考え方です。
見るべき指標②:デバイスの種類(どの端末で見られているか)
「視聴者」タブの「デバイスの種類」を見ると、スマートフォン・テレビ・タブレット・パソコンの割合がわかります。
自社データで見えたこと
| 動画 | 携帯電話 | テレビ | タブレット | パソコン |
|---|---|---|---|---|
| 平屋(2:11) | 55.9% | 17.7% | 17.6% | 8.7% |
| 平屋(2:14) | 54.6% | 19.2% | 10.8% | 15.4% |
| エコハウス(2:36) | 66.8% | 15.3% | 5.7% | 12.2% |
| 4LDK(2:40) | 62.3% | 10.0% | 7.4% | 20.4% |
| 二階建て(6:27) | 34.2% | 38.9% | 19.3% | 6.6% |
ほとんどの動画でスマートフォンが過半数を占めています。「不動産の情報収集はパソコンで」というイメージがありますが、実際にはスマホで見ている人の方がずっと多い。
特に興味深いのは6分27秒の二階建て動画です。この動画だけテレビが38.9%と1位になっており、他の動画と全く異なるパターンを示しています。長尺の動画はスマホでは途中離脱されやすく、テレビやタブレットでじっくり視聴する層が相対的に残っているのかもしれません。
デバイスデータから何をすべきか
スマホ視聴が多いという事実は、いくつかの示唆を与えてくれます。
まずテロップの重要性が上がります。スマホで音を出さずに見ている視聴者が多い環境では、テロップがなければ内容が伝わりません。
次に縦動画(ショート)の必要性が裏付けられます。スマホユーザーが多いということは、縦画面で視聴している人も多い。横動画だけでなく縦動画も作ることで、スマホユーザーがより自然に見られるコンテンツが増えます。
また、サムネイルはスマホ画面で小さく表示されることを前提にデザインする必要があります。文字が細かすぎる、顔が小さすぎるサムネイルは、スマホではほぼ読めません。
見るべき指標③:クリック率(サムネイルとタイトルの訴求力)
クリック率(インプレッションのクリック率)は、動画がYouTube上に表示されたとき、何%の人がクリックして再生したかを示す指標です。
YouTubeの平均クリック率は一般的に2〜10%程度と言われています。
自社データで見えたこと
| 動画 | クリック率 | インプレッション数 |
|---|---|---|
| 2LDK(2:00) | 11.8% | 704 |
| エコハウス(2:36) | 5.6% | 967 |
| 平屋(2:14) | 4.1% | 6,293 |
| 二階建て(6:27) | 3.6% | 6,509 |
| 平屋(2:11) | 3.4% | 7,704 |
| 1.5階建て(10:19) | 2.3% | 8,089 |
| 4LDK(2:40) | 1.5% | 3,975 |
最も目立つのは2LDK動画の11.8%です。他の動画が1.5〜5.6%の中、突出した数値を出しています。
この動画のタイトルには「2LDK 2,395万円」という具体的な価格が入っています。価格という具体的な数字がタイトルに入ることで、「自分に関係がある情報かどうか」を瞬時に判断できるため、クリック率が上がっている可能性があります。
一方、クリック率1.5%の4LDK動画は、外部流入が68.2%と非常に高い動画です。外部流入が多い動画のクリック率が低くなりやすいのは、YouTubeの中での発見機会自体が少ないためです。
クリック率から何をすべきか
クリック率を上げるために有効なのは、サムネイルとタイトルの改善です。
タイトルについては、価格・坪数・間取り(LDK)など具体的な数字を入れることで、視聴者が「自分に関係があるかどうか」をすぐに判断できます。「ルームツアー」「長野」「須坂」などの地域・用途キーワードも有効です。
サムネイルについては、スマホで小さく表示されることを前提に、文字を大きく・少なくすることが基本です。物件の最も魅力的な一角を切り取った写真を使い、文字情報はタイトルに任せる設計が効果的です。
3つの指標を組み合わせて読む
流入元・デバイス・クリック率の3指標は、それぞれ単体でも参考になりますが、組み合わせることでより深い示唆が得られます。
例えば「クリック率は高いのに視聴回数が少ない」場合は、インプレッション数(表示回数)が足りていないことが原因です。アルゴリズムに評価されておらず、そもそも表示される機会が少ない状態なので、タイトル・サムネイルよりも動画の内容やキーワード設計を見直す必要があります。
「インプレッション数は多いのにクリック率が低い」場合は、表示されているのにクリックされていない状態です。サムネイルやタイトルが視聴者の興味を引けていないため、その部分の改善が優先です。
「流入元がYouTube検索中心なのに視聴維持率が低い」場合は、タイトルと動画内容のミスマッチが疑われます。検索キーワードで来た視聴者が期待した内容と違うと感じて離脱している可能性があります。
まとめ:まず見るべき3指標
YouTubeアナリティクスで最初に確認すべき指標をまとめます。
①流入元——視聴者がどこから来ているか。YouTube検索が少ない場合はタイトルのキーワードを見直す。
②デバイス——スマホが多ければテロップ・縦動画・サムネイルのスマホ最適化を優先する。
③クリック率——2%以下なら要改善。タイトルに具体的な数字(価格・坪数・間取り)を入れることが最も効果的な対策。
これらはすべてYouTubeアナリティクスの無料機能で確認できます。再生回数だけを追うのではなく、「なぜ伸びているのか・なぜ伸びていないのか」を読み解く習慣が、動画運用の質を上げていきます。
なお、ここで紹介したデータはすべて自社チャンネルの実測値です。チャンネルの規模や動画のジャンルによって傾向は異なりますが、「何を見ればいいか」という読み方の参考にはなるはずです。
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